- 準惑星ケレスの表面で地球外では初となる海水由来の鉱物ハイドロハライトが確認された
- 不安定なこの物質は200万年以内に形成された可能性が高く、ケレスの地下から湧き出たと考えられる
- ケレスは生命をサポートできる天体の可能性があり、今後は地球外生命体の痕跡調査も検討される
準惑星ケレスには、表面に明るく輝く領域があると知られていました。
これまでの観測ではその明るい領域が何であるのか詳細は不明でしたが、NASAの探査機ドーンが調査を行った結果、これが塩の1種である炭酸ナトリウムであることが明らかになりました。
地球では、炭酸ナトリウムは海底にある熱水噴出孔の周辺に存在する物質で、ケレスに塩水が存在していることが示唆されたとのこと。
さらに最新の調査では、ここに地球以外では見つかっていないハイドロハライト(含水塩岩)という鉱物が確認されました。
ハイドロハライトは海水が存在することを示す明確な証拠となります。
こうした調査からNASAの研究チームは複数の論文を学術誌『Nature』で発表し、そこではケレスの内部が想像よりも高温であること、地下に塩水の貯水層が存在しており、それが地表に現在も湧き出していることなどを報告しています。
まさか岩石の固まりと考えられていたケレスに、生命誕生の鍵となる海水があったとは驚きの発見です。
準惑星ケレス
ケレスは、火星と木星の間にある小惑星帯(メインベルト)に浮かぶ最大の天体で、海王星軌道の内側では唯一の準惑星です。
準惑星(dwarf planet:ドワーフ・プラネット)というのは、2006年に定義された小惑星以上、惑星未満というべき新しい分類の天体で、自身の重力によって球形を保てる質量を持った太陽系8惑星以外の太陽系天体を指します。
惑星の分類から外されてしまった冥王星も、この準惑星の仲間になっています。
このケレスは、長い間ただの岩塊だと考えられてきましたが、望遠鏡の観測では明るく輝くような反射率の高い地形が表面に確認されていて、その詳しい性質などは謎に包まれていました。
この詳細な調査を行ったのがNASAの探査機ドーンです。
ドーンは燃料を使い果たした最終ミッションで、高度35kmまで急降下して、非常に高解像度のケレス表面のデータを収集しました。
このとき焦点が当てられたのが、明るい領域の中心地であるオッカトルクレーターと呼ばれる場所です。
このクレーターは約2000万年前に隕石の衝突によって形成されたと考えられ、大部分の塩はこのときの熱で溶かされたものと考えられます。
しかし、この場所に堆積していた塩分はもっとずっと最近のものである可能性が見つかったのです。