サメは、一般的に群れない生き物として知られます。
エサを食べるときだけ一時的に群がることはありますが、基本的に狩りは単独ですし、社会的なコミュニティーを作ることもありません。
ところが、米・フロリダ国際大学の研究により、「オグロメジロザメ(Grey reef shark)」に、大きな集団を形成し、そこから少数精鋭で狩りに出て、終わったらまた戻ってくる社会行動が発見されたのです。
さらに、集団の中には、数年以上も持続する友情関係を築いたペアも複数確認されています。
持続的な「友情」を築くペアも発見
研究チームは、太平洋中部にあるパルミラ環礁近海に生息するオグロメジロザメ41頭を対象に、専用のタグを取り付けて2011〜2014年まで追跡調査しました。
その中で、パルミラ環礁を中心にして、かなり遠距離まで移動し、再び戻ってくる行動が見られています。
これは「中心地採餌戦略(central place foraging)」と呼ばれ、ランダムにエサを探すのではなく、中心地となる拠点を決めて、そこから特定の範囲内を探す採餌行動です。
狩猟・採集を最大効率化させる手法であり、昆虫から人間まで幅広い生物に見られます。
一方で、同チームは、オグロメジロザメに特有の社会構造を調べるため、「中心地で過ごす時間」や「移動のネットワーク」「どのサメ同士が行動を共にするか」といったデータを採取。
その結果、オグロメジロザメのコミュニティーは、「離合集散社会(fission-fusion society)」という形態に一致することが判明しました。
これは、コミュニティーが常に固定的に動くのではなく、その中の小さなパーティーが採餌に出かけてまた戻ってきたり、パーティー内のメンバーが変わったりする、流動的な社会を指します。
オグロメジロザメでは、夜間に少数精鋭で狩猟に出かけ、昼頃に戻って来ていました。
驚くべきは、4年におよぶ調査の間、継続的に行動を共にし、ある種の特別な絆を持つペアが複数見られたことです。追跡は2014年で停止しているため、彼らの友情は今も継続中かもしれません。