- 124億光年離れた初期宇宙で、天の川銀河によく似た銀河が発見された
- 5月にも初期宇宙で回転銀河が発見されたが、今回は重力レンズを利用し詳細に観測された
- 初期宇宙に秩序だった回転銀河が存在することは、銀河形成の理論に大きな影響を与える
ヨーロッパ南天天文台(ESO)のALMA望遠鏡が、私たちの天の川銀河によく似た銀河を初期宇宙に発見しました。
これまで、初期宇宙は若い銀河やガスの固まりが衝突を繰り返す混沌とした状態だったと考えられ、秩序だった回転する銀河などは存在しなかったと考えられていました。
現在見られる天の川銀河なども、長い年月をかけて成熟した銀河だと考えられてきました。
今回の発見は天の川銀河のような構造が、宇宙誕生からたった14億年程度ですでに整っていたことを意味しています。
これは銀河形成の理解に、新たな洞察を与えるものです。
天の川銀河に似ている?
今回発見された銀河は「SPT0418-47」と名付けられています。
この銀河は地球から約124億光年という距離に発見されました。現在宇宙の年齢は138億年と推定されているため、この発見位置は宇宙誕生から約14億年たった世界を意味します。
この銀河は、私たちの属する天の川銀河に非常によく似ていました。
似ていると言っても「SPT0418-47」は天の川銀河のようならせん状の腕は持っていません。しかし、天の川銀河が持つ典型的な2つの特徴である回転する銀河円盤と、中央の膨らみ「バルジ」を持っているのです。
初期の宇宙に誕生した若い銀河は活発に星を生み出していますが、ガスの固まりは衝突を繰り返し激しい熱を持っているため、秩序だった回転運動は行っていません。
さらに、大きな星がぎっちりと詰まった中央の星の集まり「バルジ」も持っていません。
こうした構造は、銀河が冷えて星々が秩序だって動くようになったあと、長い時間をかけて形成されるものだと考えられています。
そのため、比較的近い宇宙(最近の宇宙)で見つかるような成熟した銀河の特徴が、初期の宇宙で見つかったという事実は、これまでの私たちの銀河形成の理解に挑戦状を叩きつける存在なのです。