- 喉頭の進化は肉食動物と比較した場合、霊長類が非常に進化速度が速いことがわかった
- 体の大きさから予想される喉頭のサイズも、霊長類は大きく、種によるサイズのばらつきも大きい
- 急速な進化の理由は、霊長類がコミュニケーションを複雑化させたことが要因と考えられる
喉頭と言われても、なんとなく喉のあたりだろうというのはわかるけど、具体的にどこ? と思う人は多いかもしれません。
喉頭は気管より上で、舌骨より下のちょうど首の真ん中あたりにある器官です。男性の「のど仏」がこれに当たり首の上から触ることもできます。
その主な役割は、どの動物でも共通していて、摂食時の気道の保護、肺への空気供給の管理、そして発声の制御です。
新たな研究は、この喉頭について霊長類が肉食動物などと比較して、急速に進化させていたという事実を報告しています。
他の動物と比較して、なんで人間は単純な鳴き声ではなく複雑な言葉を使うのだろう? と疑問に思っていた人は多いでしょう。
その答えの一端がここにあるのかもしれません。喉頭の進化は、種が複雑なコミュニケーションを実現するための重要な鍵になっているようです。
喉頭進化の研究
一風変わったテーマに思えますが、今回の研究者たちは霊長類の進化について喉頭に着目して、55の異なる種の喉頭を包括的に調査しました。
進化の研究においては、霊長類が非常に柔軟性を持っていると言われており、喉頭はこの事実を明らかにするための重要な指標になるだろうという仮説がありました。
そのため、今回の研究は科学者にとって興味深いものであり、長年の仮説を証明する証拠ともなるものなのです。
研究チームは喉頭の3Dスキャンとコンピュータモデルを用いて、他の種との比較調査を行いました。
今回の研究チームの1人、イギリスのアングリア・ラスキン大学(ARU)の行動生態学者Jacob Dunn氏は「今回の研究で、哺乳類のグループ間で喉頭の進化には明確な違いがあることがわかった」と述べています。
具体的には、霊長類の喉頭は体のサイズと比較して大きく、比較群として相性の良い肉食動物と比べた場合、急速に進化していたことが初めて示されたのです。
これは種によって声帯器官の進化に根本的な違いがあったことを示しています。