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神秘的な「青い炎の渦」の構造を解明!その正体は3つの異なる燃焼の結合だった

2020.08.18 Tuesday

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Credit:Credit:J.D. Chung et al.,Sci. Adv. 2020; 6: eaba0827
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  • 2016年に海上の油汚染を取り除く研究から偶然発見された青いのリングの構造が明らかになった
  • これは3種類の炎が結合して生成されたもので、完全に燃料を燃焼させていて煤が出ない
  • 多くの課題が残っているが、青い炎のリングは化石燃料をクリーンなエネルギーとして利用する要になる

美しいモーリシャス諸島の海が、タンカー座礁による重油流出で汚染されている報道にショックを受けた人も多いでしょう。

こうした重油流出事故について、2016年に水上で油を燃やして除去する方法が研究されました。

この方法は残念ながら実用化はまだ難しいようですが、このとき研究チームは偶然にも新種の炎を発見したのです。

それは幻想的な青い炎のリングでした。

「Blue whirls(青い渦)」と表現されるこの火炎現象は、燃料を完全に燃焼させていて、まったく煤を出すことがない非常にクリーンな炎でした。

しかし、この「Blue whirls」が一体どういう構造の炎なのかは、ずっと謎に包まれていたのです。

今回の新たな研究は、数々の実験データからこの現象をシミュレーションすることに成功し、青い炎のリングの構造を世界で初めて明らかにすることに成功しました

この火炎現象を自在に操れるようになれば、重油流出のような環境汚染の除去や、有害物質を排出しない化石燃料の利用など、未来に向けたエネルギー問題の解決にも貢献できるかもしれません。

火災旋風と青い渦

2016年の研究では、海上に流出した原油汚染の除去方法について検討されていました。

ここで研究された方法は、流出した原油を1カ所に集めて水面に油の厚い層を作り、これを燃焼させて除去するというものでした。

しかし、この除去方法は非常に大量の煙(煤)を発生させてしまい、とても実用的とは言えませんでした

これを解決するためには、水上の油層を効率よく燃焼させ、周囲の大気や下にある海中へ有害物質を排出させないようにする必要があります。

そこで当時の研究チームが着目したのが、「火災旋風」と呼ばれる炎の竜巻でした。

これは都市部や山岳地で起きる大規模な火災のときに発生する危険な現象ですが、循環する炎の渦は燃料表面の加熱を大幅に増加させ、非常に効率の良い素早い燃焼が実現できます。

そこで研究者は水上に油の層を作った実験装置の中で火災旋風を起こし、環境汚染の少ないクリーンな燃焼が可能かどうかを検証したのです。

しかし、この研究は想定外の新種の炎を生み出してしまいます。それが青い炎の渦でした。

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火災旋風が青い炎のリングに変化する様子。/Credit:Huahua Xiao et al.,PNAS(2016),DOI: 10.1073/pnas.1605860113

この青い渦は通常の燃焼でよく見かける黄色い炎から発展して発生します。

黄色い炎は、燃料を完全に燃焼するだけの十分な酸素がないとき形成され、煤の粒子を放出する不完全燃焼の状態です。

しかし、火災旋風が十分な燃料と酸素を巻き込んで完全燃焼したとき、煤をまったく出さないクリーンな炎に変化しました。そのとき現れたのがこの回転する青い炎のリングなのです。

火災旋風は恐ろしい災害だと長年考えられてきましたが、この現象を制御することができれば高効率で低排出の燃焼状態を生み出すことができるのです。

これは世界的な燃料消費による環境問題にも対応できる夢の燃焼なのです。

しかし、偶然見つかったこの新種の炎は、一体どういう構造になっているのか、中心の青い炎のリングは一体何なのか? 2016年の研究時点ではまったくの謎でした。

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