数学を知覚する第六感「数覚」
小平は、東京大学理学部数学科を卒業後、なんと物理学科にも入学してしまうという数学と物理のスペシャリスト。そんな小平は「物理的現象のように、数学的現象も実在する」と考えました。
例えば、「ボールが落下する」「水面に波紋ができる」というような、多くの物理的現象を私たちは五感を通じて知覚することができます。
では、数学はどうでしょうか?例えば、数学では「無限大」をよく使いますが、「無限大」という存在を、私たちは五感で知覚することはできません。
小平は、五感で知覚できない抽象的な数学的現象を「実在するもの」と考え、数学的現象を知覚する特別な感覚のことを「数覚」と呼びました。
小平のエッセイには、以下のように書かれています。
「数学を理解するということは、その数学的現象を『見る』ことである。『見る』というのは勿論目で見るのとは異なるが、ある種の感覚によって知覚することである。」
(「怠け数学者の記」より)