数学ができない人の「数覚」
数覚は一部の天才だけのものではなく、「誰にでもある」と小平は言います。
確かに、「1+2=3」くらいの式ならば、かなり多くの人が知覚できているように感じます。しかし、三角関数や微分積分ともなると、「サッパリわからない」という人がたくさん出てくるでしょう。
小平が言うには「数覚が鋭い人もいれば、そうでない人もいる」のだそうです。エッセイには、こんなエピソードが紹介されています。
「数覚に欠けている人に数学が分からないということは、数学が出来ない子供の家庭教師をしてみればすぐに分かる。こちらには目の前に見えている現象が子供にはどうしても見えないので説明に苦しむのである。」
(「怠け数学者の記」より)
これは霊感の強い人が「幽霊はここにいる」と説明しても、見えない人にはサッパリわからない…という状況に似ていますね。