入れ替わりは自己評価と記憶力に影響を与える
この入れ替わりは、参加者の自己評価に影響を与えました。各参加者はペアになった友人の性格を反映する傾向にあったのです。
研究者たちは実験前に、お互いに相手(友人)を「おしゃべり度」「陽気さ」「独立性」「自信」など特性ごとにランク付けさせました。
そして錯覚実験中、参加者に自分の性格を自己評価させたところ、友人と似た性格だと評価する傾向が表れたのです。
さらに、入れ替わり実験は参加者の記憶力にも大きな影響を与えました。
錯覚によって自己表現が制限される場合、参加者の記憶テストの結果が悪くなったのです。
加えて友人の体を自分のものとして受け入れられる人の方が、そうでない人よりも記憶力テストの成績が良くなりました。
この記憶力テストの結果について、タシコフスキー氏は次のように述べています。
「人は自分と関係のある物事を記憶しやすいものです。そして入れ替わり実験で記憶テストの成績が悪かった人は、精神と物理的な自己感覚がズレていました。つまり自己矛盾に陥っていたのです」