バッテリーをなくす意義と限界
現段階では、新ゲームボーイは従来のゲームボーイの性能には及んでいません。
太陽の下にあって中頻度のボタン操作が必要なゲームの場合でも、ゲームプレイ10秒間ごとに1秒未満の僅かな中断が挟まります。
そのため研究者たちは「チェス、ソリティア、テトリスなどの一部のゲームはプレイ可能だが、アクションゲームなどは難しい」と考えています。
またゲームサウンドがないことや太陽光の状態に左右されることもユーザーの没入感を損なわせるものとなっています。
このように不完全な部分が目立ちますが、この取り組みが目指すところは、単純に「ずっとゲームできる」というものではありません。
私たちに欠かせないコンピュータから「コストがかかり、環境に有害で、最終的に埋め立て処分となるバッテリーを無くす」ことにあるのです。
バッテリー不要のゲームボーイが実現すれば、それを応用してコンピュータのバッテリーもなくせるかもしれません。
もちろん、21世紀の最新携帯ゲーム機がバッテリー不用になるまでには遠い道のりがあります。地球の環境問題の改善に役立つのはもっと遠い未来でしょう。
しかし30年前の携帯ゲーム機器を不完全とはいえバッテリーなしにできたのです。これは彼らの目標を達成するための確実な一歩となりました。
バッテリー不用のゲームボーイはUBICOMP2020で発表予定にあり、今後も改善されていくでしょう。