人間と動物は見分けられるのか?
この研究アイデアで最大の課題となるのが、人間の遺体と他の大型の動物の遺体を見分ける方法です。
森で動物が死に分解されるのは自然の中では当然のことです。これらと見分けがつかなければ、今回の遺体捜索方法は実用的とは言えません。
この問題は、現代人が身体に蓄積している医薬品や食品保存料が役立つ可能性があるといいます。
コンビニ飯ばかり食べていた若者はアパートで孤独死しても、食品保存料の影響で死体が腐らない、なんて都市伝説がありますが、遺体が森で分解された場合、こうした化学物質の影響が植物に現れる可能性があるとのこと。
もし行方不明者を捜索している場合、その人物についてヘビースモーカーであるとか、何らかの医薬品を服用している、などの事前情報があればより化学的な検出が容易になると考えられるのです。
カドミウムはタバコを吸う人に高濃度で見つかる化学物質ですが、植物にも容易に取り込まれクロロフィルを含む細胞に影響を与えることがわかっています。
こうした変化は動物の死骸から栄養を得た植物では見られないものになるでしょう。
また植物の葉の細胞壁は、強い蛍光を発するリグニンで構成されています。
リグニンは根を介して吸収されたアミノ酸から作られるため、人間の遺体由来のアミノ酸は、葉の蛍光を介して検出できる可能性が考えらるとのこと。
この研究はまだ実現された技術ではありませんが、研究者は近い将来森を見渡すだけで、そこに隠された死体を発見できる捜査方法が確立されるだろう、と語っています。