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平らなアンモナイト型の巻貝が羽ばたいている/Credit:Frontiers in Marine Science
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海中で羽ばたく貝「海の蝶」の移動方法を調査。貝殻の形によって泳ぎ方を変えていた!?

2020.09.09 Wednesday

羽ばたきながら移動する貝が、海には存在するようです。

「海の蝶(英: Sea butterfly, 学名: thecosomata)」などは、貝殻から伸びた2枚の羽を器用に使って海を泳ぎます。

9月7日『Frontiers in Marine Science』に掲載された研究では、これら羽ばたく貝たちの貝殻の形状と、移動能力の間の関係が詳しく調べられました。

結果、意外な事実が判明します。

上の動画をみてもわかるように、羽ばたく速度はかなり速く、1秒間に5回にも及んでいたのです。

動かないものの代名詞である貝が、羽虫のように高速で羽ばたく様子はかなり奇怪。陸上動物で例えるならば、亀に翼がはえるような進化と言えるかもしれません。

いったいどうして貝たちは重い貝を背負ったまま海中を飛んで移動するようになったのでしょうか?

livescience https://www.livescience.com/flying-snails-video.html

貝の羽ばたきは虫の羽ばたきと同じ仕組み

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羽ばたきによって羽の周囲に水流の渦がうまれる/Credit:Frontiers in Marine Science

羽ばたく貝の存在自体は、以前から知られていました。

羽ばたく貝は海水よりも僅かに重く、日中は羽ばたきながら海面近くに移動して餌となるプランクトンを食べ、夜になると動きをとめて海中深くに沈んでいくという生活パターンをとります。

しかしこれまで、貝たちの羽ばたき運動に着目した研究は進んでいませんでした。

そこで研究者たちは、これら羽ばたく貝たちを水槽に入れて、三次元カメラで動きを追跡することで、その羽ばたき運動を追いました。

結果、貝たちの羽ばたき運動は単調なものではなく、陸上の羽虫と同じく全体が「8の字運動」を行っていることが判明したそうです。

陸上の虫の羽は8の字運動を行うことで、単純な推力だけでなく羽の表面に生じる渦の空力を利用していることが知られています。

虫と貝は進化的に大きく異なりますが、収斂進化の結果か、羽ばたき運動に共通点ができていたようです。

しかし研究者たちはまだ満足しませんでした。実は他にも重要な事実が隠させれていたからです。

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