重りとなる貝殻の多様性がエサ場の重複を避けていた
研究者たちの事前の予想では、流線形に近い縦長の貝が最も効率よく、早く動くだろうとされていました。
しかし、実験で最も速く効率的に動けたのは球形に近い「ヒラメ型」であり、縦に長い型は重い上に操作性がよくなく、体長をベースにした相対速度(1秒間に何体長ぶん進めるか)は最も遅いものでした。
また意外なことに、明らかに泳ぐのに不適切だと考えられていたアンモナイト型は上方向の動きだけでなく水平方向への動きも得意としていました。
大きく下側にぶら下げた丸い貝殻を一種の安定板のように機能させ、素早い横移動も可能にしていたのです。
また立体的な巻貝は動きに回転をもたせることで安定性を生み出していることもわかりました。
これら速度や移動方向の多様性は、結果として羽ばたく貝たちの1日の挙動に多様性をもたらします。
そしてこの多様性はエサをとる場所(深さ)の多様性にも関連していました。
羽ばたく貝たちは羽の性能ではなく、重荷としてぶら下げる貝殻の種類を増やすことで、一種の棲み分けを行い、エサ場の集中を避けていたのです。