お腹を壊さずに牛乳を飲める能力「乳糖耐性」は紀元前1200年のヨーロッパから急速に広まった
お腹を壊さずに牛乳を飲める能力「乳糖耐性」は紀元前1200年のヨーロッパから急速に広まった / Credit: canva
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お腹を壊さずに牛乳を飲める能力「乳糖耐性」は、紀元前1200年のヨーロッパから急速に広まった (2/2)

2020.09.13 Sunday

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中世ヨーロッパでは60%まで激増

ところが、それから2000年後の中世ヨーロッパ人の遺伝子を見てみると、およそ60%以上の大人が乳糖耐性を持っていました。これは現代の中央ヨーロッパに見られる70〜90%という数字に非常に近いです。

研究主任のクリシュナ・ビーラマ教授は「この結果は、牛乳の消化をコントロールする遺伝子の獲得が人類の中で異常に急速に進んだことを示している」と指摘します。

それと同時に、乳糖耐性を持っている中世のヨーロッパ人は、そうでない人に比べ、出産率が6%高いという結果も判明しました。

これは乳糖耐性の遺伝子が、人類の繁栄において明らかに有利に働いたことを証明しています。

人類はなぜ乳糖耐性を取り戻した?

それでも、人類がなぜ乳児期の後に、再び乳糖耐性を取り戻したのかは分かりません。

可能性のひとつとして、同チームのヨアヒム・バーガー氏は「牛乳は、かつてのヨーロッパにおいて、高エネルギーで比較的汚染されていない飲み物でした。そのため、食糧不足や飲み水の供給源が汚染されていたときに、人々が生き延びる重要な飲み物となったのかもしれません」と主張しています。

いずれにせよ、乳糖耐性を取り戻したおかげで、料理の幅が大きく広がったことも確かでしょう。

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