革の代替品としての可能性
新しい菌類シートは、革の代替品としての大きな可能性を秘めています。
革は非常に有用で人気の高い素材ですが、それらは動物から得られるものであり、これまでに倫理的な問題があるとしてたびたび議論されてきました。
また代替品として活用されてきたポリ塩化ビニル(PVC)やポリウレタン(PU)などの合成皮革素材の製造は、化石燃料由来の化学物質に依存しています。そのためこれらは持続可能な素材ではありません。
こうした背景にあって新しく作成された菌類シートは、カーボンニュートラル(排出されるCO2と吸収するCO2が同量)であり、生物分解可能です。
また菌類由来であるため持続的な生産も見込めます。
つまり環境的にも倫理的にも問題がなく、持続生産可能な代替革が見つかったことになるのです。
もちろん現時点での課題はあります。菌類シートは厚さや色、および機械的特性を均一にすることが難しく、研究者たちはこれからもこの課題に取り組んでいかなければいけません。
しかし、既に菌類バイオマスベースの代替革を生産している企業が増加してきています。
将来、菌類シートが代替革として普及する可能性は大いにあるでしょう。