そよ風で発電可能な風力発電フィルムが発明された
そよ風で発電可能な風力発電フィルムが発明された / そよ風で発電可能な風力発電フィルムが発明された/Credit:Cell Reports Physical Science
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必要な風力は”歩きで感じるそよ風”だけの「発電フィルム」が開発される!下敷きを擦って静電気をつくる原理を応用

2020.09.26 Saturday

歩くときに生じるわずかな風でも発電可能な装置が開発されました。

9月23日に『Cell Reports Physical Science』に掲載された論文によれば、2枚の紙のような極めて軽量な装置が、「そよ風」から電気をうみだすことに成功したようです。

この新たな発電装置は2.5ミリワットの電力を生成でき、小さなLEDライトや温度計といったセンサーを動かすのに十分な能力を発揮します。

しかし、この2枚の薄いフィルムがどうやって電気を起こしているのでしょうか?

techxplore https://techxplore.com/news/2020-09-tiny-device-scavenge-energy-breeze.html / sciencedaily https://www.sciencedaily.com/releases/2020/09/200923124720.htm / Cell Reports Physical Science https://www.cell.com/cell-reports-physical-science/fulltext/S2666-3864(20)30222-8#

原理は誰でも知っている髪と下敷きを使った静電気

そよ風発電の原理は静電気
そよ風発電の原理は静電気 / フィルムは接触と分離を繰り返して静電気を発生させる/Credit:Cell Reports Physical Science

誰でもとは言いませんが、多くの人は子供の頃に頭に下敷きを擦りつけて、静電気で遊んだ覚えがあると思います。

静電気を起こすコツは、下敷きと髪の毛を繰り返し擦り合わせる点にあります。頭に載せるだけでは静電気をうまく作れません。

今回の研究では、この静電気を作るコツが発電システムに応用されています

装置の中核である2枚のフィルムは風よってはためき、接触と乖離を繰り返すことで、下敷きと髪の毛のように擦り合わせる関係を構築して静電気をうみだします。

ただ子供の遊びとは違って、この装置は生じた静電気をフィルムを通して吸収して、電力源とすることができるのです。

そよ風発電フィルムはプラスチックと銀でできており安価に製造できる
そよ風発電フィルムはプラスチックと銀でできており安価に製造できる / フィルムはプラスチック(PVDF)の土台の上に電極となる銀を薄く塗布し、コロナ放電で処理した後にもう一枚のプラスチック(FEP)ではさみ、最後にもう一度コロナ放電させることで作られる/Credit:Cell Reports Physical Science

今回開発された発電フィルムは銀の薄く伸ばした電極を、プラスチックではさむことで作られており、生じた静電気を銀が逃さず、吸収して外部へと伝達します。

原理は至って明快であり、装置を作るために高度な最先端の技術も必要ありません。

しかし誰もが知っている遊びを、人類の役に立つようにできたのは、今回の研究がはじめてでした。

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