高速道路は利用されると成長が加速していた
単細胞型の細菌と多細胞型のカビ菌を一緒に育てた結果、上の動画のように、単細胞型の細菌が多細胞型のカビ菌が張り巡らせた菌糸の上を、秒速30マイクロメートルという非常に速い速度で移動していることが判明しました。
多細胞型のカビ菌は、ある地点のエサ場と他のエサ場を菌糸でつなぐように増殖するため、菌糸の上を移動することは、単細胞型の細菌にとって効率的なエサの確保に有利に働きます。
そのため最初、両者の関係は、単細胞の細菌側に利益が偏った、歪んだ共生関係にあると思われました。
しかし単細胞型の細菌の行動を詳しく分析を行った結果、意外な事実が判明します。
単細胞型の細菌が菌糸を高速道路として利用しはじめると、なぜか利用されているだけだったはずの、多細胞型カビ菌の菌糸の成長が加速したのです。
どうやら単細胞型の細菌は、単にタダ乗りをしているだけではなかったようです。
しかしそうであるなら、単細胞型の細菌はいったい何を「お返し」していたのでしょうか?