発見は偶然だった
最初の発見は純粋な偶然でした。
糖尿病の研究を行っていた博士課程の学生であるサニー・ファン氏は、マウスから採血して血糖値を測定する練習をする必要がありました。
ただ研究室には実験用のマウスは沢山いても、練習用のマウスはいませんでした。
そこでファン氏は同僚のカーター氏と共に、他の研究に使われていたマウスを借りてきて、採決と血糖値の測定練習を行いました。
しかし、その測定で奇妙なことが起きたのです。
借りてきたマウスたちは、遺伝子組み換えによって、2型糖尿病を必ず発症するように調整された変異体であったにもかかわらず、測定された血糖値はすべて正常値でした。
測定結果が正しとすれば、可能性は2つしかありません。
すなわち、変異体だと思っていたマウスが正常個体であったか、変異体マウスの糖尿病が何らかの原因で治療されていたかです。
しかし正常個体の疑いは早々に否定されました。
採血された個体を調べた結果、ちゃんと変異体になっていたからです。
そこでファン氏とカーター氏は後者の治療説に興味を持ちました。
というのも、借りてきたマウスは「電磁場が動物の脳と行動に及ぼす影響」を研究するために、強い電磁場に断続的に晒されてきた「特別な」個体たちだったからです。
2人はさっそく、電磁場が糖尿病に対して治療効果があるかをどうかを調べることにしました。