・高所と経済的リスクのある意思決定の関係性について研究が行われた
・実験と分析から、高所にいるとリスクを取りやすくなることが判明
・しかし高所が及ぼす意思決定への影響を事前に伝えると、効果は消失してしまう
“The Journal of Consumer Psychology”に掲載された研究で、人は高所にいると意思決定において経済リスクを取りやくなることがわかりました。研究者は、「高所にいる」という感覚が潜在意識を刺激している可能性があると指摘しています。
http://dx.doi.org/10.1002/jcpy.1024
研究チームは、資産5000億以上ある3000もの企業を対象に分析調査を実施。調査によって、株価の値動きと企業が置かれている建物内での位置関係において相関関係が見られました。
また実験では、高層ビル内のガラス張りのエレベーターの中で、被験者に階を上下させながら賭けゲームを行ってもらいました。その結果、被験者らが72階付近で最もリスクのある賭けを行うことが判明しました。そして、そのリスクのある賭けは、大なり小なり勝利をもたらしていました。
別の実験では、被験者が建物の1階にいるときと3階にいるときで意思決定の変化があるか調査しました。被験者には、それぞれ異なるレベルのリスクとそれに伴う利益が絡む10の意思決定をさせました。すると、3階にいた被験者の方がリスクのある意思決定をする傾向にありました。
これらの分析と実験結果から、研究者らは高い場所にいるほどリスクを好む効果があるとの見解を示し、経済リスク以外のリスクが絡む意思決定について調査を行いたいと述べています。
また興味深いことに、「高所にいるとリスクを取りやすくなる」と被験者に伝えると、この効果はなくなってしまいます。同じように、高所にいることを感知していないときも効果の効き目はありません。
研究チームのシーナ・エスターキさんは、「この研究の教訓は、ある効果を認知することでその効果がなくなるということです。脳は、微妙な環境の変化に敏感であり、今回のようにある効果についての認知がその効果に脳が順応します。このような認知が、理性的な判断の助けとなるでしょう」と述べています。
リスクを取らない上司がいたら、高層ビルの最上階に呼び出してみるといいかもしれませんね。
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via:Phys.org/ translated & text by ヨッシー
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