脳を回復させる「低温ショックタンパク質」とは
同チームは2015年に、シナプスの再形成を促す低温ショックタンパク質の「RBM3」を発見しています。
実験では、健康なマウスと変性疾患を持つマウスの体温を35度以下になるまで冷やしました。それから体を温めてみると、健康なマウスにのみシナプスの再形成が見られています。
原因は、RBM3が健康なマウスの体内で上昇し、変性疾患を持つマウスでは上昇しなかったことにありました。
その後、RBM3を人工的に上昇させることで疾患を持つマウスでも脳機能を修復できることが証明されています。
研究主任のジョバンナ・マルッチ氏は、この結果を受け、「RBM3の生産を促す新薬があれば、認知症の予防や回復に役立つかもしれない」と考えました。
しかし、ヒトの血中でRBM3が検出されたことは一度もなかったのです。