冬眠する動物は自動で脳を修復していた?
研究チームは以前より、多くの哺乳類に見られる「冬眠能力」に注目してきました。
認知症やアルツハイマーのような神経変性疾患は、初期段階に、脳内の細胞間の接合部分である「シナプス」を破壊し始めます。それが進行すると、記憶障害といった認知症の症状が現れ、最終的に脳細胞全体を破壊します。
一方で、チームの興味を引いたのは、冬眠を始めた哺乳動物でもシナプスの結合破壊が見られることです。
彼らのシナプスは、冬眠している間に約20〜30%が失われていました。ところが、春に目覚めて体温が上昇すると、シナプスの結合も再形成されていったのです。
これは自然な脳機能の修復を意味するのですが、その鍵は哺乳類が持つ「低温ショックタンパク質(英: cold-shock protein)」にありました。