現実世界とゲームの世界の比較
ゲーム内のプレイヤーの社会的、経済的行動は、ゲーム内の経済活動の評価と、戦争などの攻撃性を測定して行われました。
攻撃性の比較には、現実世界でプレイヤーが所属する国の世界平和度指数(暴力、犯罪、軍事費、戦争などを参考に地域の平和状況を数値化したもの)と世界テロ指数(過去にその国で起きたテロ事件の数・犠牲者数等を参考に数値化したもの)が使用されました。
また経済的行動の比較には、現実でプレイヤーが所属する国の消費者物価指数(CPI)、実質実効為替相場(REER)、失業率(UNEMP)から見た社会経済的特徴が参照されました。
この結果研究チームは、プレイヤーのNPC(人間プレイヤー以外のゲーム内キャラクター)に対する攻撃性が、プレイヤーの母国における実際の攻撃性の評価と正の関係を持つことを発見しました。
ただし「攻撃的」と評価された国に住んでいるプレイヤーは、安全な国に住んでいるプレイヤーに比べて、仲間のプレイヤーに対する攻撃性は低いことが示されています。
また経済的行動はプレイヤーが住むマクロ経済環境と相関があり、失業率が高く通貨が安い国のプレイヤーはゲーム内での取引をより慎重かつ効率的に行うことがわかりました。
上の図は接続者数100人以上の国のゲーム内社会経済プロファイルの類似性を、国ごとに比較したものです。
類似度は1が最大(赤色)で、-1がまったく類似性がない(青色)となっています。
これを確認すると、地理的に近い国同士はゲーム内での行動が類似している傾向がありました。つまり地域的な状況にゲーム内行動が左右されている可能性が高いということです。
例えばロシアとウクライナ、フランスとイギリス、ドイツとオーストリアなどはそれぞれ同じプロファイルを持っています。逆にカナダとウクライナの類似度は-0.98というもっとも低い類似度を示しました。