イヌの多様化は”人類の移動”と連動していた
研究チームは、イヌの多様化の追跡にも成功しています。
例えば、ヨーロッパに分布した初期のイヌは、遺伝的に2つの起源を持ち、1つは中近東、もう1つはシベリアの犬種に由来していました。
しかし、2つの遺伝子はある時点で失われたらしく、今日のヨーロッパ犬には存在しません。
同チームは、ヨーロッパ犬の遺伝的変化に人が関係していると予想し、古代イヌと古代人のデータを比較しました。
その結果、イヌの多様化および移動は人類の移動と密接に連動していたことが発見されたのです。
最終氷期以降、人類はイヌをパートナーとして引きつれ、世界各地に移動し、それとともに犬種も多様化したのでしょう。
同チームのグレガー・ラーソン氏は「イヌは私たちの最も古くて身近なパートナーです。今後も古代イヌのDNAを調べることで、人類との共生関係がいつどこで始まったのかを知ることができるでしょう」と話しました。
5種しかいなかったイヌが過去1万年間で700種にまで増えた裏には、やはり人の動きが関係していたのです。