宇宙と脳の不思議な類似性
この画像の左側はマウスの脳内のニューロンを赤く染色したもの、右側には宇宙に分布する銀河の大規模構造をシミュレートした結果が映されています。
両者の構造が非常に似通っているという事実は衝撃的であり、多くの人々の記憶に脳と宇宙の神秘的な関係を刻みました。
以前から両者の構造が似ている理由は、構成割合の類似性が原因ではないかといわれています。
人間の脳はおよそ860億個(うち小脳は690億個)のニューロンとそのネットワークで構成されている一方で、観測可能な宇宙には1000億個の銀河からなる「銀河の網」が存在します。
そしてニューロンと銀河は共に、それぞれの属するシステム(脳全体と宇宙全体)の質量のごく一部(30%未満)に過ぎません。
脳の場合は77%が水であり、宇宙の場合は70%がダークエネルギーです。
さらに両者ともに、その構造は網目とつなぎ合わされた結節点によって組織化されています。これらの構成割合と構造が類似性を引き起こしていたのかもしれません。
しかし脳と宇宙の類似性は、真面目な科学者にとっては、常に一歩引いて接する問題でした。
なぜならば両者の構造は一見して似通ってみえるものの、一方は生命活動の結果であり、他方は重力を主とした物理学的な力によって引き起こされた結果だからです。
そのため両者を混ぜて論じる試みは、控えめに言っても挑戦的過ぎました。
しかしボローニャ大学の天体物理学者のヴァッツァ氏とヴェローナ大学の脳神経外科医のフェレッティ氏からなるコンビは、そんな恐れからは無縁だったようです。