光合成で水素を作る微生物
そこで登場したのが今回の研究です。
この研究では、通常、酸素を生成する植物の光合成で水素を生成させることに成功したといいます。
研究チームは1滴の中に、浸透圧圧縮によって1万個近いクロレラ藻類の細胞を詰め込みました。
液滴の奥深くに閉じ込められた細胞は、酸素濃度が低下することで、通常の光合成回路を乗っ取って水素を生成するヒドロゲナーゼと呼ばれる特殊な酵素をオンにすることができます。
こうしてチームは1ミリリットルの液滴の中に水素を生成する25万の細胞を押し込めた微生物反応器(マイクロリアクター)を作成したのです。
さらにチームはこの生きた微生物反応器をバクテリアの薄い膜でコーティングしました。
バクテリアの膜は液滴の酸素を除去するため、ヒドロゲナーゼ活性する藻類細胞の数がさらに増え、水素の発生レベルを上げることに成功したのです。
この研究は初期段階ですが、今回提案された方法は、微生物を使ってクリーンにエネルギーを開発できる可能性を示しています。
研究チームの1人、ハルビン工業大学のファン教授は、
「方法論は非常に簡単です。生細胞の生存率を損なわずに、この方法は拡張していけるはずです。また、他の分野にも応用可能な柔軟性があり、このマイクロリアクターを使ってエタノール製造を行うこともできます」
と話しています。
近い将来、完全にクリーンな方法でエネルギーが作れるようになるのかもしれません。