水素を生成する藻類細胞の電子顕微鏡画像。スケールバーは10マイクロメートル。
水素を生成する藻類細胞の電子顕微鏡画像。スケールバーは10マイクロメートル。 / Credit:Prof Xin Huang, Harbin Institute of Technology
chemistry

光合成で「水素」を生成することに成功! 有害物質をださない未来エネルギーの実現に近づく

2020.11.27 Friday

通常、藻類の細胞は光を浴びると二酸化炭素を消費して酸素を作り出す光合成を行います。

ところがイギリスのブリストル大学と、中国のハルビン工業大学の国際研究チームは11月25日にオープンアクセスジャーナル『Nature Communications』で発表された論文において、空気中の日光にさらされると、酸素の代わりに水素を生成する微生物の作成に成功したと報告しました。

これは次世代のエネルギー源として多くの可能性を秘めた発見です。

>参照元はこちら(英文)

Research creates hydrogen-producing living droplets, paving way for alternative future energy sources https://www.bristol.ac.uk/news/2020/november/hydrogen-producing-droplets.html

未来エネルギーとしての水素の可能性と問題点

水素の原子モデル。
水素の原子モデル。 / Credit:depositphotos

水素は環境を汚染する要因が少なく、気候に対して中立な燃料と考えられています。

そのため、燃料電池などを始め将来的なエネルギー源として注目されている元素です。

しかし水素はそのままの形では地球上に存在していません。

他の元素と結びついてしまっているため、水素を利用するためにはまとまった量を人工的に生成する必要あります。

水素生成の理科実験。
水素生成の理科実験。 / Credit:Wikipedia

理科の授業で塩酸と亜鉛から水素を作るという実験をした記憶があると思いますが、この方法で大量の水素を作るには非常にコストがかかり現実的ではありません。

そのため現在のところ、低コストで大量の水素を製造する場合、天然ガスや石油から取り出す方法が主流。

しかしこの方法では、化石燃料が消費され二酸化炭素が発生します。またエネルギー効率も良いとは言えません。

燃料電池は水素と酸素を消費して水を排出するだけで電気が作れる、という話しを聞いて、すでにクリーンなエネルギーがあるじゃないか、なんでもっと使わないんだと思っていた人もいるかもしれません。

ですが、結局水素をクリーンで安く大量に用意する方法がないというのがネックになっているのです。

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