外観が大きく違う犬種について犬はどう思っているのだろうか?
外観が大きく違う犬種について犬はどう思っているのだろうか? / Credit:Animal Cognition
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イヌは「見た目が大きく違う他犬種」を同じイヌだと認識できる!

2020.12.28 Monday

犬の世界では神話のように小人と巨人が入り乱れています。

犬は地球上に生息する動物種の中で、単一種としては最も大きな外観の違いを「犬種」の形でもっていいるからです。

この奇妙な世界は人間による品種改良の結果作られました。

そこで気になるのは、犬はこの現実をどう思っているかです。

時には自分の十倍も大きく、あるいは十倍も小さく、顔の形も毛色もスタイルも異なる他の犬種を、犬たちは自分と同じ「犬」とカテゴライズして認識しているのでしょうか?

それとも大型の犬はウシや馬に、小型の犬はネコに近い生き物だと勘違いしているのでしょうか。

『Animal Cognition』に掲載された論文が、その答えを教えてくれるかもしれません。

zmescience https://www.zmescience.com/science/the-most-adorable-study-of-the-year-shows-how-dogs-recognize-each-other/

犬は犬をみつけるのが得意

犬は他の生物の中から犬を的確に選別する能力がある
犬は他の生物の中から犬を的確に選別する能力がある / Credit:Animal Cognition

いくつかの心理学の入門書には、人間は多種多様な種をどうやって1つの「犬」として認識しているかを、考えさせる章があります。

鼻がつぶれているブルドックとスラリとしたコーギー、巨大なセントバーナードと小さなチワワ、耳がピンとしているドーベルマンとラブラドールと、犬は犬種によって大きく外観や鳴き声が異なるにもかかわらず、私たちは彼らをいっしょくたにして「犬」と呼びます。

これは、人間には異なる属性を排除して共通項を抽出し、本質となるものを見抜くという、高度な認知機能があるためです。

では、犬はどうでしょうか?

犬好きの人間ならば既に答えを知ってるかもしれません。

公園に散歩に出かけたりドッグランで犬に自由にさせると、犬たちは犬種にかかわらず、あっという間に集団を作り、一緒に遊び始めます。つまり経験的に言えば

「大きさや外観の違いにかかわらず、犬は犬を認識する」

となります。

今回の研究でも、犬たちは優れた認識能力を発揮し、研究者が用意した多種多様な動物の画像(ネコ・羊・牛・馬・人間そして多種多様な犬種)の中から、犬を的確に選び取りました。

自分にとって馴染みのない(みたことのない)犬種であっても、犬たちは犬を見事に認識していたのです。

犬を長年飼っている人にとっては「当たり前」のことかもしれませんが、驚くべきことに、科学的にこの問題に挑んだのは今回の研究が最初だったのです。

次ページ犬は「違うことそのもの」を憎しみに変えない

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