犬は犬をみつけるのが得意
いくつかの心理学の入門書には、人間は多種多様な犬種をどうやって1つの「犬」として認識しているかを、考えさせる章があります。
鼻がつぶれているブルドックとスラリとしたコーギー、巨大なセントバーナードと小さなチワワ、耳がピンとしているドーベルマンとラブラドールと、犬は犬種によって大きく外観や鳴き声が異なるにもかかわらず、私たちは彼らをいっしょくたにして「犬」と呼びます。
これは、人間には異なる属性を排除して共通項を抽出し、本質となるものを見抜くという、高度な認知機能があるためです。
では、犬はどうでしょうか?
犬好きの人間ならば既に答えを知ってるかもしれません。
公園に散歩に出かけたりドッグランで犬に自由にさせると、犬たちは犬種にかかわらず、あっという間に集団を作り、一緒に遊び始めます。つまり経験的に言えば
「大きさや外観の違いにかかわらず、犬は犬を認識する」
となります。
今回の研究でも、犬たちは優れた認識能力を発揮し、研究者が用意した多種多様な動物の画像(ネコ・羊・牛・馬・人間そして多種多様な犬種)の中から、犬を的確に選び取りました。
自分にとって馴染みのない(みたことのない)犬種であっても、犬たちは犬を見事に認識していたのです。
犬を長年飼っている人にとっては「当たり前」のことかもしれませんが、驚くべきことに、科学的にこの問題に挑んだのは今回の研究が最初だったのです。