ここ1年で最短日記録を28回更新!
原子時計を用いた地球の自転速度(1日の長さ)の記録は、1960年代から続けられています。
過去50年間の記録では、地球が自転1周を完了するのに、24時間よりわずかに長い時間を要することが度々ありました。
その都度、タイムキーパーたちは、原子時と太陽時の帳尻を合わせるために時間を足す作業をしています。
これが、1972年に導入された「うるう秒」です。
うるう秒の調整では、地球の自転速度が変化して、原子時と天文時に0.9秒をこえる誤差が生じた際に1秒単位で足し引きされます。
しかし、これまでの調整(計27回)では、1秒を足すことはあっても、引くことはありませんでした。
ところが、2020年に突如として長年の傾向が逆転し、地球の自転が24時間より短くなり始めたのです。
実際、2020年7月19日は原子時の24時間よりも1.4602ミリ秒短く、これは観測史上もっとも短い1日となりました。
これ以前の最短日記録は2005年のものでしたが、その記録は過去12ヶ月だけでなんと28回も破られているのです。
それでも、1ミリ秒は1000分の1秒と原子レベルの話なので、この程度のズレでは日常生活にまったく支障ありません。
一方で、タイムキーパーたちは「今後も自転速度の加速が続けば、うるう秒の導入(1秒引くこと)も考えなければならない」と言います。
イギリス国立物理学研究所のピーター・ウィバリー氏は「今、地球が過去50年の中で最も速く回転していることは確かです。
自転速度がさらに上昇すれば、うるう秒の調整も必要になりますが、その判断はまだ時期尚早でしょう」と話します。
うるう秒は通常、6月か12月の末日に追加されることが決まっており、最後の例は2016年の大晦日でした。
もし次にうるう秒の調整がされるなら、2021年6月30日になるとのこと。
また、地球の自転速度が上がっている原因はよくわかっていません。
2015年に『Science Advances』で発表された報告(英文)によると、「原因の一つに地球温暖化があげられ、氷河の融解が進むにつれて、地球上の質量の大きな再配分が生じ、自転を速めている可能性がある」とのことです。
この説が正しければ、地球の自転は今後ますます速まるかもしれません。