惑星を形成する2つの力
研究チームが考えたのは、惑星形成に磁場が関連しているというものでした。
これまでの惑星形成モデルは重力のみが想定されてきました。
これは非常に広範囲に影響する力ですが、より惑星の核に近い短い距離では、磁場のほうが支配的です。
そこでチームは磁場が惑星形成に与える影響を含めたモデルを作ろうと考えました。
しかし、重力と磁力は規模も性質も異なる力のため、これを統合するというのは非常に困難です。
これまでのところ、片方の効果をうまく捉えたコンピュータシミュレーションは、もう一方の力をうまく取り込むことができませんでした。
そこで研究チームはさまざまな専門知識を駆使し、重力と磁気の両方について深い理論的理解をした上で、これをコードに変換して対照的な力を同時に効率よく計算するシミュレーションを作り上げたのです。
これは非常に膨大な計算量を必要としました。そこでチームはスイス国立スーパーコンピュティングセンター(CSCS)の強力な計算機「PizDaint」を使って、このモデルの計算をおこなったのです。
この結果は非常に興味深いものとなりました。
磁場は成長中の惑星に質量を取り込む重要な力としてはたらきましたが、これはある質量を超えたとき物質を蓄積することが困難だったのです。
これはまさに私たちが観測している宇宙の状況と一致するものでした。
つまり、惑星形成はある質量までは磁場の影響によりスムーズに進みますが、それ以上のサイズへ成長することは基本的に困難だということが示されたのです。
重力と磁力、2つの力の作用によって、宇宙には中間質量惑星が多く形成され、巨大ガス惑星は稀な存在となっていたのです。
この結果は、まだ最初のステップに過ぎないと研究チームは語っていますが、惑星形成シミュレーションをより深く理解していくために重要な発見となるものです。