大人が若いころに聴いた曲を好むのは、鮮明な想い出と関連づけているから
調査結果をまとめると、どんな年齢の人でも「思春期に聴いた曲はその時の記憶と密接に絡み合っている」ことが分かります。
また、年齢を重ねるほど、過去の記憶と結びついた曲を「好ましく感じる」傾向があるようです。
そして研究チームは、この結果が、心理学で一般的に知られている「レミニセンス・バンプ(Reminiscence bump)」と一致していると指摘。
レミニセンス・バンプとは直訳すると「回想のこぶ」であり、「10代20代の想い出は記憶に残りやすい」という、人に共通する現象です。
この原因には若い時期に初めての体験が多いことや、生物学的およびホルモンの変化が関係していると考えらえています。
ちなみにレミニセンス・バンプは40歳以上で強化される傾向があり、年齢を重ねるほど若いころの出来事を懐かしく好ましいものとして感じるとのこと。
確かに研究チームが指摘するように、今回の調査結果の傾向と一致しています。
つまり、大人が若いころに聴いた曲を好むのは、単に「その曲が名曲だった」だけではなく、無意識により鮮明でポジティブな記憶と関連付けていたことが原因だったのです。
私たちは思春期の記憶を鮮明に覚えているので、その懐かしさを曲の良さにプラスして評価を高めていたのですね。
もちろん現代では、新旧関係なくどんな曲でも簡単に聴ける環境が整っています。
ですからこうした技術的な変化が好みやレミニセンス・バンプとどんな関連があるのか、今後も調査していく必要があるでしょう。