漂流経路を明らかにし、行方不明者を見つける
フジツボ分析では、漂着物に付着したフジツボの成長度からどれだけ海を漂っていたか知ることができます。
研究チームの報告によると、フジツボの平均成長率は1日あたり1.05mmとのこと。
また、最速成長率も1日あたり1.45mmだと分かっています。
仮に船が沈没した場合、その残骸が数週間後に海岸へ打ち上げられるかもしれません。そこに付着するフジツボの大きさで、沈没した日時がある程度判明するのです。
最速成長率も分かっているので、もっと昔に沈没した船の残骸と区別することも可能。
さらに研究チームはフジツボの殻を酸素同位体分析することで、フジツボの成長過程における海水温の履歴を推定することにも成功しました。
人工衛星による過去の海水温情報と比較することで、漂着物の漂流経路を知ることができるのです。
漂着物(船や飛行機の残骸)の出発点が分かれば、そこは沈没現場である可能性が高く、その海底に眠っている行方不明者を探し出すこともできるでしょう。
論文の共著者であるCMSI所属のイアン・サザース教授は、「1~3ヵ月漂流していた漂着物は、科学捜査的に有効である」と述べました。
今後、研究チームはサンプルサイズを大きくして調査精度を高める予定です。