インドで行われた実地試験
研究室で確認された成果に勇気づけられた研究チームは、この新しい木部ろ過フィルターを、実際に清潔な飲料水を確保できないインドの地域に持ち込んでフィールドテストを行いました。
この地域は水による感染症の死亡率が世界でもっとも高く、1億6000万人以上の人々が水のろ過問題に悩んでいます。
研究チームは地元のNGOと協力して、米国のイチョウの木から作られたフィルターと、在来の松の木から製造したフィルターを使ってテストを行いました。
そして、このフィルターは、見事に地元の水に含まれる有害なバクテリアを効果的に除去することが確認されました。
ここで試されたろ過システムのプロトタイプは、長さ1メートルのチューブを通って、木部フィルター通過し、バルブ制御の注ぎ口から流れ出すというものです。
これはテストでは1時間あたり1リットルの速度で、水を浄化することができました。
この木部フィルターは利用頻度に応じて、日ごとまたは週ごとに交換する形になります。
今回テストを行った低所得地域では、最初に多額の投資を行ってシステムを導入することには消極的ですが、少額のフィルターをこまめに交換することについては抵抗感が薄いことが調査から判明しています。
現状の市販されている浄水システムをこの山岳地帯の地域に導入するには、交通費などのコストもかかり難しいものでした。
しかし、先行投資を必要とせず、どこでも安価に手に入る簡単なシステムの木部フィルターは、普及させることが容易だと考えられます。
もちろん現在はまだテスト段階の話であり、本格的に導入するにはまだ研究が必要で、木部フィルターの製造ラインなどについても検討する必要があります。
けれど、今回の研究は、木部フィルターが世界のさまざまな低所得地域で、現実的なパフォーマンスで清潔な水を提供できることを示しました。
自然に生えている木を使うという単純な方法で、世界のより多くの人の命を救うことが可能になるのかもしれません。
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