世界中の危険な水
これは論文内で触れられている世界の不衛生な水を原因として起こった下痢死者数の分布です。
よく見ると日本でも報告されているようですが、世界では清潔な飲料水が利用できないために、死亡する人はかなりの数存在しています。
この中には、ろ過されていない水を飲むことが、生きていくうえで唯一の選択肢になっている地域も多くあります、
こうした問題をなんとか解決したいと考えているのが、今回のMIT(アメリカ、マサチューセッツ工科大学)の研究チームです。
チームは以前から、木が持つ浄水能力に着目していました。
松やイチョウなどのいわゆる裸子植物の内部には、木部と呼ばれるワラのような導管(裸子植物では仮道管)が束になった部分が辺材に存在しています。
木のこの部分は天然のろ過フィルターとして機能しています。
研究チームは以前の研究において、この木部を利用したフィルターを開発し、汚染された水源の大腸菌やロタウイルスなどの病原体を除去できることを確認しました。
木部フィルターは、世界のどこでも簡単に手に入る材料で簡単に作れるため、これを大規模に利用できれば、世界の汚染された水による問題の多くを解決できる可能性があります。
しかし、その材料としての挙動は十分に理解されておらず、また保存期間が短いため、これを広くろ過フィルターとして利用するには課題が多くありました。