どのクジャククモも寄りつかない「湿地」に生息
マラトゥス属は、中国とオーストラリアに分布するハエトリグモ科の大きなグループです。
そこに分類されるクジャクグモは、全長4〜6ミリ程度で、成体のオスはカラフルな体色をしており、しばしばクジャクの羽のような装飾毛がついています。
対照的に、メスは体色が不明瞭で、明るい色をもちません。
クジャクグモの最大の特徴は、オスが求愛時に見せる華麗なダンスでしょう。
新種のマラトゥス・ニモ(以下、ニモ)は、オーストラリア南部にあるマッキンタイア山の2ヶ所と、ナングワリー町の1ヶ所で見つかりました。
ニモは全長4〜5ミリで、顔は鮮やかなオレンジ色に白のストライプが入っています。
最初の発見者は、南オーストラリア州の環境保護団体「Nature Glenelg Trust」のシェリル・ホリデイ氏です。
氏は「腹部や足は灰色の簡素な色でしたが、非常に目立つオレンジ色の顔はそれまでに見たことがなく、新種ではないかと思いました」と話します。
それから、ホリデイ氏はフェイスブックにニモの画像を掲載。
それに同国・マードック大学のクモ学者、ジョセフ・シューバート氏が気づき、新種の特定へといたりました。
ニモの発見により、クジャクグモの総数は92種となっています。
シューバート氏は「ニモが見つかった場所は、不思議なことに、どれも浅瀬の沼地植物の上にできる短期間しか存在しない湿地帯でした。
これほど湿度の高い場所に生息するクジャクグモは他にいないので、詳しく生態を調査する必要がある」と述べています。
また、ニモがどんな求愛ダンスをするのかも気になるところです。