ドローン誘導で羊たちのストレスが軽減
家畜における群れの誘導は、その動物たちの心身の健康に直接的な影響を及ぼします。
研究主任のケイト・ヤクスリー氏は「中でも牧羊犬を使う誘導は、羊たちに多大なストレスを与えている可能性があります。
羊は高度に認知的な生き物なので、彼らと触れ合う場合、羊たちの福祉を考えることが私たちの社会的・倫理的な責任となる」と話します。
本研究の目的は、羊の福祉を踏まえた自律的な牧羊システムを開発することです。
それと同時に、家畜農家が現代の機械技術 (この場合はAI)を利用できるような体制をつくり、家畜に対する社会的・倫理的責任の土台を築くことを目指しています。
ヤクスリー氏は「UAVを取り入れている家畜農家はすでに存在しており、まったく新しい考えというわけではありません。
しかし、私たちが見落としていたのは、羊がどのようにテクノロジーと相互作用し、羊の心身にどのような影響が生じているかという点でした」と述べています。
そして、牧羊犬とドローンを用いた誘導テストの結果、前者の条件では、羊たちの心拍数が非常に高いことが判明しました。
そのため、牧羊犬で群れを誘導する従来の方法は、羊に多大なストレスを与えていると考えられます。
反対に、ドローンを用いた場合、羊たちの心拍数は牧羊犬と比べ、はるかに低い数値を記録しました。
また、羊たちの聴覚を適度に刺激する音をドローンにもたせることで、スムーズな誘導にも成功しています。
ヤクスリー氏は「この研究は、人とAIが協調して家畜農業の福祉を育むという長期的なビジョンの一環となります。
今後は、家畜農家が現代のテクノロジーを広く享受し、動物にやさしい牧畜形態を広めていきたい」と話しました。
その陰で、牧羊犬の仕事は次第になくなっていくかもしれませんね。