振動は大切な「コミュニケーション」
コスタリカ・オサ半島のビーチで実施された実験では、太平洋に分布するヤドカリ(学名:Coenobita compressus)を対象に、貝殻の振動効果が調べられています。
チームは、砂浜に描いた円の真ん中に貝殻を置き、1匹のヤドカリを放して貝を奪おうとする様子を定点カメラで撮影しました。
ちなみに貝殻の中身は空っぽで、代わりに強さを調節できるミニチュアの振動装置を入れています。
振動の強弱を変えてみた結果、振動が「弱」のとき、ヤドカリは少し思案してからその場を離れ、反対に「強」の場合は一目散に飛びのいて逃げ出したのです。
その違いは、以下の動画でしっかりと確認できます。
同チームのマーク・レードル氏は「ヤドカリは魅力的な貝殻を見つけると、持ち主が弱っているかどうかを観察し、奪える隙を常にうかがっています。
大丈夫だと判断すれば、相手の背中に飛び乗って、中にいる宿主の状態を振動でチェックするのです」と説明します。
つまり、振動が弱ければ中にいる宿主も弱く、強ければ強敵だと判断するというわけですね。
レードル氏によれば、ヤドカリは貝を揺らすことによって「まだ住んでますよ」とか「出て行くつもりはないですよ」といった気持ちを相手に伝えているのだとか。
振動は、ヤドカリ同士の大切な会話として成り立っているのかもしれません。
ただし、話し合いで平和的に解決できない場合も多々あって、ときには激しい争いに発展していくこともあります。
ヤドカリの家探しもかなり大変なようです。