Zゲノムは初期の地球環境に適応していた
今回の研究により、塩基「Z」をDNAの塩基配列に持つウイルスが、地球上に数多く存在することが示されました。
またZ塩基の合成やDNAへの組み込みに必要な一連の遺伝子群(Zゲノム)も明らかになります。
研究者の1人は、Zゲノムが太古の地球に存在していたとしたら、初期の生命に利点をもたらしたと考えています。
塩基「Z」は対になる塩基「T」との間に3本の水素結合を作ることが知られており、これは通常の塩基「A」と塩基「T」の間の2本よりもつながりが強いことを意味します。
そのためZゲノムを含むDNAは、惑星初期の高熱で過酷な環境に耐えることが可能になるそう。
一方で、Zゲノムが限られた種でのみ広がっているのも、その頑強さにあるとされます。
DNAが設計図として働くためには、水素結合を解いて1本鎖の状態に変異する必要がありますが、余分な結合力は変異を困難にし、生命活動に必要な代謝速度を低下させます。
そのためDNAの頑強さは初期の地球のように高温で過酷な環境では有利であっても、現在の地球においてはハンデになりかねません。
それでも、Zゲノムの安定性は、特定の遺伝子技術にとっては理想的な候補になりえます。
今回の研究によってZゲノムを作るために必要な酵素が特定されたため、研究者たちはZゲノムを生産することが可能になりました。
研究者たちは今後、Zゲノムを人間を含む様々な生物の細胞に組み込み、何が起こるかを調べていくとのこと。
地球産かどうかも怪しいZゲノムですが、研究が進めば人の役に立つ日が来るかもしれません。