数億時間を計算に費やした理論家の言い分
理論家を中心とする研究者たちは『Nature』に掲載された論文において、今回の実験結果は、標準理論の範囲内との見解を示しました。
彼らは理論家の集団であり、結論を出すにあたって一切実験は行っていません。
行ったのは計算だけ。しかしその内容は非常に説得力があるものでした。
彼らはまず、標準理論の最も基本となる形態から順に要素を計算していきました。
標準理論は120を超えるプラスとマイナスを含む項で形成されており、その計算は非常に困難です。
今回の研究でも、理論家たちはヨーロッパじゅうのスーパーコンピューターを稼働させ、複数のCPUにより合計数億時間の演算を行いました。
誰もやらなかったことであり、誰も答えを知りませんでした。
しかし計算を終えた結果、標準理論の許容値が既存のものよりも大きく、ミューオンの測定値が範囲内に収まることが判明したのです。
つまり標準理論は崩壊などしておらず、許容値だけが更新されたということになります。