ミューオンの観測結果が標準理論を崩壊させる可能性! 実験家と理論家の熱すぎる戦い
ミューオンは電子の207倍の質量を持つ、内部構造を持たない純粋な素粒子です。
またこれまでの見解によれば、ミューオンは回転する磁石のような性質を持っていることが知られています。
この磁石の強さと回転速度は合わせて「g」というパラメータで表記されており、「g」の値は理論上、きっかり「2」になるとされています。
しかし実験において、この「g」の値を測定すると、常に「2」よりも大きい値として計測されます。
その原因は「真空」にありました。
もし真空が文字通りの意味の「空」であれば、「g」の測定値は間違いなく「2」に収束します。
しかし、私たちの住む宇宙の実際の空間は、何もない場所からいきなり粒子が飛び出ては消えていく(例えば電子と陽電子の対)、非常に騒がしい場所です。
なぜそんなことになっているのかと疑問に思うかもしれませんが、残念ながら答えはありません。
強いて言うならば、無から生じて巨大な爆発を起こした私たちの宇宙(空間)は今でも、無から粒子を生成する能力に満ちているということになるでしょう。
興味深いことに、この無から生成される粒子の存在が、空気圧のように物体を押すということが実験的に証明されています(カシミール効果)。
重要なのは、この突然現れては消えていく粒子たちが測定結果に影響を及ぼすという点です。
ミューオンには空間から出現する光子を吸収して放出する能力があるために、実験による「g」の測定値は常に理想的な真空の場合の「2」よりも少し大きくなってしまうからです。
問題は、どれだけ大きくなるか……すなわち、どれだけ真空の騒がしさに影響されるか? という点にあります。
現代の物理学の基礎となる標準理論では、この大きさ(異常磁気モーメント)の許容可能な限界値は
0.00116591810 ほどとされています。しかし実験では
0.00116592061 となったのです。注目すべきは最後の4ケタ。
理論が許容できる大きさは1810までですが、実験結果は2061だったのです。
ごく僅かな違いに思えますが、許容値を超えるということは、現代物理の基礎である標準理論が間違いであることを示します。
そしてミューオンは、標準理論で説明できない未知の粒子と相互作用しているという証になります。
この結果は現代物理の全てをひっくり返すものでした。
しかし、理論をベースにしている研究者たちは、別の見解をもっていました。