選択肢が多いほど、女子生徒は不注意になる?
グリセルダ氏は、これと別に、各生徒が選択肢を決めるのに要した時間や、スキップした問題の数を調べ、どのように答えを導くかを分析しました。
PISAのデータでは、回答が早すぎる生徒(例えば、3秒以内に答えを出す生徒、設問を注意深く読まない生徒)を特定できます。
こうした生徒の傾向は、熟慮不足や不注意の表れと見なすことが可能です。
分析の結果、生徒が答えを出すアプローチにも、男女差が存在していました。
全体的な傾向を見ると、男子の方が回答に消極的で、選択肢を決めるのも早く、設問を飛ばすことも多かったようです。
ところが、選択問題の割合が多くなるほど、この傾向は逆転しました。
選択問題の多い試験を受けた女子生徒は、選択問題の少ない場合に比べて、熟慮不足や不注意を示すようになっていたのです。
これまでの研究(Applied Measurement in Education, 2009)でも、女子生徒は選択式の問題に興味を示さないという傾向が示されています。
また、女子生徒は、より多くの見方と多様な解答策のある問題を好み、男子生徒は、選択式のように一つの回答を決める問題を好む傾向があります。
さらに、グリセルダ氏は「自信や大胆さも選択問題のスコアに影響する」と指摘。
「例えば、自分の解答に対して自信や大胆さがあるほど、誤った選択肢を消していくスピードも速くなる」と述べています。
ただし、PISAでは自信の度合いを評価する指標はないので、断定はできません。
また、今回の結果はあくまでも全体の傾向にすぎず、選択問題が得意な女子生徒もいれば、苦手な男子生徒もいます。
それでも、性別に特有のアプローチの違いが、選択問題のスコアに影響している可能性はあるようです。