南アフリカのケープミツバチは単為生殖でクローンを生み出していた
研究チームによると、南アフリカのケープミツバチは、他のミツバチと同様に、女王バチがオスとメスによる有性生殖を行い、働きバチが単為生殖を行っていたとのこと。
また働きバチの単為生殖では通常オスしか生まれませんが、ケープミツバチに限ってはメスも生まれると分かっています。
そこでチームは、女王バチの生殖器官にテープを貼って、オスとの交尾を禁止しました。
女王バチが働きバチと同じ単為生殖を行うよう誘導したのです。
そして生まれたそれぞれの子供の「遺伝子組み換え率」を調査しました。
その結果、女王バチの子供は働きバチの子供に比べて、約100倍もの遺伝子組み換えが行われていました。
さらに働きバチの子は、親とほぼ同じ遺伝子を持っていると判明。
つまり女王バチの単為生殖は「自分と自分の近親交配」であり、別の個体を生み出すものでしたが、働きバチの単為生殖は無性生殖としてクローンを生み出すものだったのです。
加えて、ある系統の働きバチは、約30年も同じクローンを生み出し続けていたと判明。
これはそのクローンが先天性障害や生殖機能障害などの問題を抱えていないことを示す明確な証拠だと言えます。
このようにケープミツバチの社会では、「女王の子供には多様性」が求められ、「働きバチの子供には、健康が保証されたクローン兵隊」が求められているようです。
今回の研究では、働きバチがそのニーズに応えるかのように、あえて遺伝子を組み替えない単為生殖を行ってきたと分かりました。
メカニズムなど未だ不明な点は多いので、さらなる研究が期待されます。