自己発電し体内に吸収されるパッチが開発される
新しく開発されたのは、自己発電型の電気刺激パッチです。
このパッチは、アメリカ食品医薬品局(FDA)に認可された生体適合性ポリマーをベースに構成されています。
そのため最初は手術によって骨折部位に装着されますが、役目を終えたあとは、自然と体内で吸収されるようになっています。
またパッチに搭載されているナノジェネレーターが摩擦から自己発電して電気刺激を加えるため、外部装置とつなげる必要もありません。
このナノジェネレーターは、「靴下を履いた足でカーペットをこすりつけて静電気を発生させる」ようなシステムだと言えます。
装着者の体の動きから小さな電気を生成できるのです。
そしてマウスを使った実験では、脚の骨折がわずか6週間で完治しました。
短期間で骨のミネラル密度も曲げ強度も健康な骨と同じレベルに達したのです。
対して、同様の症状で偽パッチを装着したマウスは、10週間経っても骨折線が消えていませんでした。
これは電気パッチが確かに骨折治癒を早めたことの証拠となります。
とはいえ、その6週間の間にマウスは比較的活発に活動しており、ナノジェネレーターは絶えず4Vを生成できていました。
人間の場合は骨折部位を固定するため、「十分に発電できるのか?」という懸念があります。
今後研究チームは、血圧の変化などを利用した別の発電方法も検討する予定です。
人間への適用が可能になれば、スポーツ選手など、素早く骨折を治したい人にとっての希望となるでしょう。