二酸化炭素が温室効果を起こす理由
温室効果を語る場合に問題となる熱源は赤外線です。
ただし、ここで使う赤外線とは、太陽光として入ってくるものではありません。
温室効果で問題となるのは、地球表面によって反射される赤外線です。
空気中の主成分である窒素や酸素は、この赤外放射とは相互作用せず透過させます。
ところが、二酸化炭素は赤外活性を起こしそのエネルギーを吸収してしまいます。
なぜ、それが起きるのでしょうか?
ここで重要なのが分子の構造です。分子は原子の結合してできています。
この原子同士の結合は一定の距離で固定されているものではなく、実はバネのような状態になっています。
つまりビヨンビヨンと常に伸び縮みして振動しているのです。
そして、この分子の振動数に一致する光線が当たったとき、その分子は激しく振動するようになります。
二酸化炭素の振動数は、ちょうど赤外線の周波数(振動数)と一致するため、共鳴するように激しい振動を起こしてしまうのです。
また、二酸化炭素は激しく振動した場合に分子の持つ双極子モーメント(いわる電荷の分布)が乱れてしまいます。
一方、窒素や酸素は高ネルギーのX線やガンマ線は吸収しますが、低波長の赤外線の振動にはあまり影響を受けません。
そして左右対称につながっている酸素分子などは、動いても電荷の分布に変化が起きません。
このため、赤外線の影響でエネルギーを蓄えることがないのです。
二酸化炭素は、この現象によって、大気中で何兆もの分子がエネルギーの吸収、励起、放出を連続的に繰り返し周りのCO2分子にエネルギーを伝播させ続けます。
こうして二酸化炭素は熱を内部に閉じ込めてしまうのです。
そしてフロンガスは1分子で、二酸化炭素の1万倍、メタンの場合は30倍の熱を吸収してしまいます。
水蒸気は空気中に存在する温室効果ガスの中でもっとも強力です。
ただ、これらのガスは人間の活動によってあまり濃度が変わらないため、結果的にもっとも問題視されるのが二酸化炭素となるわけです。
このような特性があるため、二酸化炭素がもっとも危険な温室効果ガスというわけではありませんが、増え続けるとやっかいなことになるのは確かでしょう。