「誰が銃を撃ったのか」――即座に分かる新技術を開発
犯罪現場で「誰が銃を撃ったのか」特定できるかどうかは、事件解決の大きな鍵となります。
ここで重要となるのが「射撃残渣(GSR)」です。
射撃残渣とは、銃を発砲したときにプライマー(雷管)成分の爆発によって生じた超微細な粒子のことを指します。
これらは鉛(Pb)、バリウム(Ba)、アンチモン(Sb)などの金属成分を含み、人間の目では見えないほど小さな粒子となって、撃った人の手や衣類、顔などに付着します。
この射撃残渣を検出することで、現場で誰が銃を撃ったか、あるいは近くにいたかを推測できるのです。

これまでも、銃撃の際に発生する射撃残渣を調べることで、犯人特定に役立てる試みはありました。
代表的な方法が、SEM-EDS(走査型電子顕微鏡-エネルギー分散型X線分光法)です。
この方法では射撃残渣に含まれる金属成分を高精度で検出できますが、非常に高価な装置と専門知識が必要です。
また、他の化学的検出法も存在しますが、反応が曖昧だったり、対象外の物質にも反応してしまうリスクがありました。
つまり、これまでの方法では時間がかかり、専門機器が必須で、現場ですぐに「この人が撃った!」とは判断できなかったのです。
そこで登場したのが、「PL-Pb」と呼ばれる新技術です。
この技術は、射撃残渣に含まれる鉛を対象にしており、これを薬剤で瞬時に発光させ、その場で「誰が銃を撃ったのか」明らかにするというものです。
では、この新技術はどのような仕組みなのでしょうか。