銃弾の残留物である「鉛粒子」を緑色に発光させる

新たに開発されたPL-Pb技術は、射撃残渣に含まれる鉛(Pb)粒子だけを対象にしています。
この鉛粒子を特殊な薬剤(臭化メチルアンモニウム)で処理すると、瞬時に粒子表面にペロブスカイト型の結晶が形成されます。
ペロブスカイト結晶とは、光を非常に効率よく吸収し、特定の波長の光を強く放出する特別な構造を持った結晶です。
紫外線を吸収したペロブスカイト結晶は緑色の光を放つため、UVライトをかざすだけで、肉眼で「ここに射撃残渣がある!」と一目でわかるようになるのです。

これにより、現場で容疑者の手や衣類に残った痕跡を即座に発見し、その場で「この人が銃を撃った可能性が高い」と判断できるようになります。
また研究チームは、手を洗った後でも検出できることを発見しました。
容疑者はしばしば証拠を改ざんしたり隠ぺいしたりするため、この利点は非常に重要です。
加えて実験では、射撃が行われた現場から約2m離れた場所を歩いていた通行人の手からも鉛の証拠が検出されました。
こうした証拠は発砲位置や状況再現にも役立つことでしょう。
とはいえ、PL-Pb技術は鉛をターゲットにしているため、射撃残渣に鉛を含まないケースでは役に立ちません。
それでもこの技術が普及すれば、多くの場面で、警察や鑑識チームはこれまで以上にスピーディかつ確実に事件解決へと導けるはずです。
あらかじめ鉛の微粒子を撒き散らしてから撃てば撹乱も可能と…。