不思議な証明に隠れている0除算
最後に、「2=1の証明」を紹介します。
(※虚構新聞「『2と1は等しい』 数学界で論議」より引用)
おかしな部分がコッソリ隠れているので、探してみて下さいね!
まず、
$$a=b$$
とします。
両辺にaをかけると
$$a^2=ab$$
となります。
両辺からbの2乗を引くと
$$a^2-b^2=ab-b^2$$
となります。
左辺に因数分解の公式を使い、右辺をbでくくると
$$(a-b)(a+b)=b(a-b)$$
となります。
両辺を(a-b)で割ると
$$a+b=b$$
となります。
a=bより、a+b=b+b=2bなので
$$2b=b$$
となり、両辺をbで割ると
$$2=1$$
となってしまいました!
ふつうに計算しているように見えますが…おかしなところに気づきましたか?
それは「両辺を(a-b)で割ると」の部分です。
a=bなので、「(a-b)で割る」とは「0で割る」ということ。そして、「(a-b)÷(a-b)=1」、つまり、「0÷0=1」として計算していたのです。
また、最後も、さりげなく両辺をbで割っていますが、割り算をするときは「0で割ってないか?」をチェックしなければなりません。
もしも、今回のように「a=b」しか与えられておらず、どうしてもbで割りたい場合は「bが0でないとき」と限定する必要があります。
こんな風に「0除算」に注意することで、おかしな証明のヒミツを見抜けることがあるのです。
また、見抜くだけでなく、「0除算が隠れたおかしな証明」を自作してみるのも楽しそうですね!
今回、最初に出題した「3÷0」や「0÷0」を考えるためには、「割り算の定義」を確認する必要がありました。
このように、数学では「定義」を確認することがとても大切です。
ぜひ、割り算以外にも「○○の定義って、なんだろう?」と調べたり、「どうして、こんな風に定義したんだろう?」と考えたりしてみてくださいね。
数学の面白さを、より感じられるかもしれませんよ!
<補足>
今回の記事では、考えている数の集合として「実数」や「複素数」を前提としています。実数や複素数は「体(たい)」と呼ばれる性質を満たしており、これが今回のような除法の話と関連しています。
関心のある方は「数学 体」で検索してみてくださいね!