1回の注射で視力が回復!臨床試験に期待!
研究チームが患者のサンプルを分析したところ、抗体治療だけでは不十分だと判明。
多くの患者の目には、血管の増加だけでなく、炎症に関連する分子も含まれていたのです。
視力低下と炎症は密接に関連しているため、治療のポイントは抗体と抗炎症剤の両方を注射することのように思えます。
しかし実際には、眼球の水分量の多さゆえ、抗体と血管の成長を促すタンパク質との結合が難しかったり、抗炎症剤がターゲットとなる組織まで届かなかったりしました。
そこでチームは、T細胞が作り出す分子「エクソソーム」を利用。
これは細胞から分泌される顆粒状の物質であり、細胞間の情報伝達を行います。
つまり細胞間のコミュニケーションツールを利用して、抗体と抗炎症剤をターゲットまで効果的に送達しようとしたのです。
そのためチームは、炎症を追跡するエクソソーム、抗体、およびトリガータンパク質(ターゲットに到達した際に2つの薬剤を分離させる)を組み合わせた三体構造を構築しました。
そしてマウスとサルによる実験では、視力障害の90%以上を回復させることに成功。
ティエン氏は、「新しい方法は、治療を1回の注射で済ませることを目的としており、その効率は既存の方法よりもはるかに高いものです」と述べました。
現在、ヒトでの臨床試験はまだ承認待ちの状態ですが、チームはまもなく治験が開始されることを期待しています。