重りを受け止める柔らかい素材
これは、何も圧力をかけず素材が詰まっていない状態での衝撃テストです。
ここでは、素材は大きくぐちゃりと曲がってしまいあまり衝撃を受け止めていないのがわかります。
一方こちらは同じ素材で、両端から圧力をかけ内部のリングを噛み合せた場合の衝撃テストです。
同じ重りでもしっかりと受け止め、変形せずに耐えているのがわかります。
これは構造を支えるリンク八面体の粒子間の平均接触回数が多い生地で達成された性質です。
この生地は、実に自重の50倍以上ある1.5kgの負荷まで耐えることができたと報告されています。
この材料は、使い方によっては頑丈な橋として機能させることも可能だといいます。
素材を硬化させるための圧縮方法としては、ワイヤーなどを通してそれを引っ張ることでリングを詰めるという方法が考えられます。
また加熱させると収縮する性質を持つ熱応答性液晶エラストマー(LCE)という材料を埋め込むことで、熱に寄って材料の柔軟性を制御する方法もあるとのこと。
研究者はこれを「ときにグライダーにもなるバットマンのマントみたいな生地」だと話しています。
この新素材は、医療の現場や、仮想現実の物理的感覚を再現する触覚テクノロジーなどに利用できる可能性があります。
また、折りたたんで運べて、十分な耐荷重性を発揮できるこの材料は、宇宙開発などでも活躍する可能性がありそうです。
マントのグライダーは実際には難しいかもしれませんが、大きな可能性を秘めた新素材となりそうです。