何十万もの骨で床が埋まっている「恐怖の洞窟」
サウジアラビアに存在するウムジルサンと呼ばれる洞窟は全長1.5kmもの長さを誇る、アラビア半島で最も長い溶岩洞窟です。
この長大な洞窟は現地に生息する多くの野生動物の住処として使われていることが知られていましたが今回、洞窟の1区画で想像を絶する光景が確認されました。
区画は上の写真のように床一面が何十万個にも及ぶ白骨で覆われていました。
研究者たちが骨を分析したところ、牛・馬・ラクダ・げっ歯類をはじめとした14種類の異なる動物の骨であると判明。
そして衝撃的なことに、骨のいくつかは人間のものでした。
問題は、どのような存在が、このような膨大な量の骨を採集したかです。
容疑者として浮かんだのは、オオカミとキツネでした。
オオカミやキツネといった高度な知性を持つ動物は、大きな獲物の骨をコレクションする可能性があります。
しかしオオカミは通常、仕留めた獲物を解体して骨を分散させることはありません。
キツネも、牛やラクダといった大きな獲物を住処に運ぶことはなく、消費しつくすこともできません。
次に捜査線上に上がったのは、ハイエナでした。
ハイエナは群れで生活し、巨大な草食動物を仕留めることが可能であり、仕留めた獲物を解体して住処に持ち帰り、残りを食べることもありえます。
そこで研究者たちは、無数の骨につけられたいくつもの傷をハイエナのものと照合しました。
結果、骨につけられた傷跡とハイエナの歯形が一致します。
また骨の絨毯の下の層を採掘したところ、複数の化石化したハイエナの糞(糞石)がみつかりました。
そしてこれら古い時代の骨や糞石の年代を分析したところ、最も古いものは7000年前に遡ることが判明します。
この結果は「恐怖の洞窟」は有史以前からハイエナ一族の住処であったことを示します。