恐怖の洞窟は今でも住人がいる
今回の研究により、無数の白骨の持ち主がハイエナであることが示されました。
洞窟の内部からは幼いハイエナの頭蓋骨も発見されていることから、洞窟はハイエナたち(母系)の子育ての場所でもあったようです。
ハイエナたちは安全な洞窟を拠点に、人間を含めた獲物を刈り、エサを持ち帰って子供たちに与えたり、自分たちの保存食にしておいたのでしょう。
そしてその営みが7000年に渡って続いた結果、床一面を白骨で埋め尽くす「恐怖の洞窟」が完成したと考えられます。
2007年、洞窟を調査していた別の研究チームは洞窟の中から「うなり声」を聞いたと記録を残しています。
うなり声の正体がハイエナかどうかはわかりませんでしたが「恐怖の洞窟」の中には現在も獰猛な肉食獣が住み着いているのかもしれません。
研究者たちは今後も骨の分析を続け、有史以前のアラビアの生態系を解明するとともに、犠牲者となった人間の骨から、先史時代の人類の情報を引き出したいと考えています。