脳オルガノイドに神経接続された目はやすことに成功!
ここ数年の急速な技術進歩により、あらゆる種類の細胞に変化できる「iPS細胞」から、人工培養された臓器(オルガノイド)を作成することが可能になってきました。
特に人間の脳を模倣する脳オルガノイドの培養は注目を浴び、世界中の実験室で無数の「脳」が培養されています。
しかし脳オルガノイドには「目の形成」という大きな壁が存在していました。
あまり知られていない事実ですが、動物の持つ目は、脳の一部が変化して体の表面に露出することで獲得されたのです。
つまり進化的にも目は脳の領域の1つなのです。
そのため高度な培養脳(脳オルガノイド)を作ろうとすれば、目の形成は避けては通れない過程となります。
これまでの研究により、脳オルガノイドを成長させることで目の受け皿となる「眼杯」などは誘導できていましたが、脳細胞と神経で繋がった統合的な目を作ることは困難でした。
原因は、脳オルガノイドに与える適切な刺激がわからなかったからです。
脳オルガノイドにはもともと、目になるための専用の細胞(間葉)が準備されていたのですが、外部からの適切な刺激がないために、準備段階が維持されたまま、目ができなかったのです。
ですが今回、ハインリッヒ・ハイネ大学の研究者たちにより、意外な物質がカギとなっていたことが判明します。